5月29日(金) 平成27年度消費者フォーラム in 千葉 

       地球との調和をめざす地域づくりを!

 第1部 基調講演 講師 倉阪秀史 氏(千葉大学教授) 
      ~再生可能エネルギーを育てる地域社会を目指して~      
 第2部 平成26年度県民提案事業の事例発表      
チラシ表面

*消費者団体等の活動内容を展示 (詳細は チラシ裏面 参照)

日 時 : 平成27年5月29日(金)12:30~15:30 
場 所 : 千葉市文化センター(3階)アートホール 
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基調講演から                            会報2015年度6月号

 初めに、現状と政府の温室効果ガス削減目標について説明がありました。そこで分かったことは、今後の予測や対策が<経産省エネルギー調査会>のものと<環境省検討会>のものでは、かなり違う方向になっているという事でした。前者は、2030年まで経済成長が続くことを想定し、エネルギーコストを下げることを第1に考えているので原発の再稼働が必要だという結論になり、後者は、2030年に人口は9%減少し、電化製品等も省エネ型のものに買い替えていくのでエネルギー消費は今より3割減少すると想定しています。

 もし、経産省の言うように経済成長率 1.7%にするには、1人当たりの生産量が今より4割増えないといけない計算。また、原発の耐用年数は1980年代は「30年」と言われていましたが、1999年に「きちんと手入れをすれば40年」と決められました。最近は新設が難しいので「60年」とされ、リスクが増しています。

 さらに、電源別発電コストの試算では、<経産省案>は、石油火力や風力では対策コストを入れて計算しているのに、原発では事故や廃炉などの負担費を入れていない、石炭火力は温暖化対策から強く抑制すべきで炭素固定貯留(CSS)が必要なので費用は格段に高くなるはずだが、野放しで大気中に放出するという前提、再生エネルギーを今行われているより低く見積もっているなど、算定数値にはごまかしが多々あり、結論から導入した数値のようでした。

 再生可能エネルギーでは、地熱、小水力はベースライン供給を担い、バイオマスは出力調整が可能です。太陽光と風力は変動するので、電力が足りなくなるのが心配でしたが、反対に供給のし過ぎをどう防止するかが課題だと聞き、目からウロコでした。政府案のベースロード電源6割は調整力が減ってやりにくくいので環境省は2割にしているとのことでした。

 実際に3.11の後、国民に節電の意識が広がり、電力使用量が減っているのに、それも政府案には計算されていないとか。

 朗報は、<テスラ>というところが壁掛け式の蓄電池を価格破壊の42万円で売り出したことです。家庭用電気も貯めておけるようになり、今後、蓄電池がもっと安くなり普及すれば、変動への対応がしやすくなります。

 先生は最後に、「再生可能エネルギーはローテクなのだから、企業任せにする必要は無く、県や市など自治体が直接運営し、その利益を県民、市民に還元すべきだ」と主張されました。千葉県には「エネルギー課」を、各自治体では「エネルギーセンター」を設置するよう話されました。千葉県内の発電施設も少し紹介され終了しました。

 私たちは平素テレビ、新聞等から情報を得ますが、こうして良く知っている方から直接お話を伺うと知識が深まり、自分たちが何をすべきかを考えることができます。とても良い講演会でした。 (加藤)